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2023年02月03日

【第二回】アジア・アジアパラ競技大会開催へ向けての準備。そして2026年へ!(愛知県スポーツ局 成瀬一浩局長)

前回は愛知・名古屋でのアジア競技大会開催へ向けてゼロからスタートし、見事に招致決定までたどり着いたエピソードをお送りしました。
今回のインタビューでは、スタートラインに立ったアジア競技大会が、どのように現在に至ったかについてお話を伺いました。


※写真撮影時のみマスクを外しています。


 
interviewer
2016年9月25日に招致が正式に決定した第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)。いよいよ本格的に開催都市として準備が始まるのですが、業務を通じて感じたことは?

成瀬局長
やはり、2018年にジャカルタで行われた、第18回アジア競技大会と第3回アジアパラ競技大会の視察が鮮烈に記憶に残っています。
それまで、アジア競技大会はTVや雑誌、新聞でしか見たことがなく、裏舞台も含めて現地視察しました。
まさに「百聞は一見に如かず」の心境でした。
中でも、国を挙げてインドネシア全体が盛り上がっていた「熱気」はそこでしか感じることが出来ない貴重な体験として脳裏に焼き付いています。

interviewer
国全体での盛り上がり。具体的にはどの辺りに感じましたか? 

成瀬局長
一言で表すならば「国の威信をかけて取り組んだアジア競技大会である」です。
中でも印象的だったのは、シティドレッシング。空港からホテルへの道中、街のどこを見ても大会エンブレムを目にすることができました。その様子を目の当たりにした選手達も現地に応援に来た方も、気持ちが高揚している様子がひしひしと伝わってきました。
大会を通じた、選手・観客・現地の人々の一体感には大きく心を動かされたことをよく覚えています。

interviewer
アジア競技大会の視察で印象に残ったことは?

成瀬局長
アジア競技大会の開会式でのジョコ・ウィドド インドネシア共和国大統領も関与した演出には驚かされました。大統領が大型のバイクに乗って会場に入ってくるという、強烈なインパクトがあるパフォーマンスでした!
「これを、日本でできるだろうか…」なんて思ったり。

しかし、最も強い印象として残っていることはインドネシア国歌斉唱です。
開会式でインドネシア国民が敬礼をしながら国歌斉唱をしているのです。その姿からは、インドネシア国民が「自分たちの国で、このように大規模な大会を開催できる」ことに誇りを抱き感動していることをはっきりと感じ取ることができました。

「きっと日本初開催の1964年の東京オリンピックでは、当時の日本人も同じ思いを抱いたに違いない」と思いを巡らせ、深く感動しました。


 
interviewer
アジアパラ競技大会の視察で印象に残ったことは?

成瀬局長
何より、現地でアジアパラ競技大会を支えるスタッフの活躍が印象的でした。
車いすを用いる選手が移動バスに乗る際、普通は、それなりにバリアフリー対応の設備が用意されています。しかし当時のジャカルタの大会では、まさに人海戦術で選手達を車に乗せる手伝いをしているのです。会場スタッフが、パラアスリートへの敬意とおもてなしの精神で懸命に支えている様子を目の当たりにしました。
まさに国を挙げて大会の成功に向けて、皆が一体となっていました。

interviewer
設備が足りない部分をスタッフの熱意で補ったということですね。

成瀬局長
まさに、その通りだと思います。国を挙げて大会の成功に向けて取り組んでいました。
また、会場外でもそれを感じたこととして、当時のインドネシアの社会課題である慢性的な交通渋滞への対応です。
会場周辺の至るところで渋滞が発生し、大会運営にも少なからず影響が生じました。そこで、選手の移動時には選手車両を警察が誘導し、渋滞の影響を最小限に抑えていました。このように、国を挙げて「アスリートファースト」や大会運営に取り組んでいた姿には多くの学びがありました。


 
interviewer
愛知県の職員として招致の段階から大会に関与なさった成瀬局長ですが、公益財団法人愛知・名古屋アジア競技大会組織委員会(現:公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会) 事務局長として大会実務の陣頭指揮のご経験もおありです。組織委員会在任時のエピソードについてお聞かせください。

成瀬局長
苦労のエピソードが多いかもしれません(笑い)
何しろ、このような大規模大会を経験した職員が当時おらず、知見やノウハウがない中で業務推進するわけですから。
調整や交渉する相手がさらに増えましたので、当時はなかなか、スケジュールを組んでもその通りに進みませんでした。

interviewer
どのようにして乗り越えていったのですか?

成瀬局長
メンバーそれぞれ、慣れない中ではありましたが、とにかく研究・勉強をしました。
また、各々がバラバラに動いてもロスが多いので、力を集結して乗り越えました!

interviewer
まさに大会スローガンにも謳われている「ここで、ひとつに。」ですね!

成瀬局長
はい、その通りですね。
「ここでひとつに」!心と力を合わせて取り組むという解釈もできますから、それを実践しました。
もちろん、これからも総力を結集するシーンは数多く求められます。
今後もこの精神で、一層力を合わせていく必要がありますね!


 
interviewer
アジア競技大会・アジアパラ競技大会に期待する点をお聞かせください。

成瀬局長
2023年秋には、中国・杭州で第19回アジア競技大会・第4回アジアパラ競技大会が開催予定です。この大会は私達、準備に携わるメンバーにとって貴重な経験、そして勉強の場になります。
しっかり学び、かつ私達に合うようにアレンジすることで、愛知・名古屋アジア競技大会の成功に活用すべきだと考えています。
大会の成功経験を後進にしっかりと引き継ぎ、愛知・名古屋の財産にできることを期待します。
また、ここ愛知・名古屋はモノづくりのイメージが強い地域ですが、大会をきっかけに観光を盛り上げていくことが期待されます。

このように、ハード・ソフト共に愛知・名古屋が飛躍するきっかけとして、アジア競技大会・アジアパラ競技大会を活用すべきではないでしょうか。

interviewer
最後に私たちに、メッセージをお願い致します!

成瀬局長
年々、アジア全体でのスポーツのレベルは上がってきています。
カタールでのサッカーワールドカップは記憶に新しいところですが、経済だけでなくスポーツにおいてもアジア勢の躍進はとても著しいです。このような背景の中、2026年のアジア競技大会・アジアパラ競技大会は、アスリートにとってオリンピック・パラリンピックさながらのハイレベルな大会になると確信しています。
その様な大規模国際大会が、私達の愛知・名古屋で開催されることは得難い好機です。
ぜひこのような機会を、一人でも多くの方が多様な関わりで楽しんでいただきたいと思います。
「IMAGINE ONE ASIA ここで、ひとつに。」この大会スローガンの精神で、ともに大会を盛り上げましょう!


 

アジア競技大会・アジアパラ競技大会に、一人でも多くの方が多様な関わりで楽しんでいただきたい。両大会の成功経験を愛知・名古屋の財産に!






1987年愛知県庁へ入庁され、長きにわたり様々なプロジェクトに携わってきた成瀬局長。
2014年からスポーツ行政に従事され、アジア競技大会の招致の段階から2023年の現在まで、アジア競技大会・アジアパラ競技大会の準備に携わってこられました。
今年度ご定年をむかえられる成瀬局長ですが、両大会について語る生き生きとした姿は、来年度以降も準備に携わる私たちメンバーに勇気を与えるものと言っても過言ではありません。
招致当時や組織立ち上げ当時の「ここで、ひとつに。」なって準備を進めていくスタンスをこれからも続けなければならないと感じました。



<全二回 完>


【第一回】アジア競技大会を愛知県・名古屋市に招致せよ!(愛知県スポーツ局 成瀬一浩局長)
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