2025年05月03日
鈴木美結さん(ホッケー)インタビュー
鈴木美結さん(ホッケー)インタビュー
「ここでひとつに。」
今回は、愛知県生まれ、岐阜県育ちのパリオリンピック・ホッケー日本代表の鈴木美結さん(26)へのインタビューです。愛知・名古屋アジア大会の試合会場となる予定の岐阜グリーンスタジアム→川崎重工ホッケースタジアム→岐阜県グリーンスタジアムで、迫力満点の練習風景も拝見しました。
ゴルフボール並みに硬い球が、時速100㌔を超える速さで飛び交う、スピーディーでスリリングな試合展開で知られるホッケー。ただ、日本国内での人気は、まだまだ伸びしろがありそうです。
ホームグラウンドで開かれるアジア大会に懸ける思いを、じっくり聞きました。

■ホッケーの街・各務原に引っ越して
―ホッケーとの出会いを教えてください。
「オリンピックに出たい」という思いを持っていた兄が参加したホッケーの体験会にくっついて行ったのが始まりです。ホッケーは、日本国内では「どの街にでもチームがある」というメジャー競技ではないのが現状ですね。本気で競技に取り組みたくなって、小学校3年生の時、ホッケーが盛んな各務原に引っ越して、スポーツ少年団に入りました。
各務原は、日本代表選手を何十人も出している街です。スポーツ少年団に入りたてのころ、クリスマス会のくじ引きで、代表選手全員のサインが入ったスティックをもらいました。代表チームがグラウンドの隣で練習していたこともあって、トップ選手をとても身近に感じられる環境です。刺激をもらえました。
―引っ越しとは、家族ぐるみですごい覚悟ですね。その後は強豪の岐阜各務野高校、山梨学院大学で活躍されました。日本の代表チームやオリンピックを強く意識し始めたのはいつごろでしょう。
周囲のチームメートたちも目標だと当たり前に話していたので、もちろん意識してはいたのですが、現実的に考え始めたのは大学に入ったタイミングでした。大学にはオリンピック出場経験がある先輩がいて、こうなりたい、と強く思いました。
小さいころ、「日本代表はオリンピックに出られるもの」と簡単に考えていたところがあります。でも、実際には最終予選を勝ち抜いたり、アジア競技大会で優勝したりしなければ国として出場権を得られないという現実もあります。真剣に向き合うようになったのは19歳の時でした。
―ホッケーとの出会いを教えてください。
「オリンピックに出たい」という思いを持っていた兄が参加したホッケーの体験会にくっついて行ったのが始まりです。ホッケーは、日本国内では「どの街にでもチームがある」というメジャー競技ではないのが現状ですね。本気で競技に取り組みたくなって、小学校3年生の時、ホッケーが盛んな各務原に引っ越して、スポーツ少年団に入りました。
各務原は、日本代表選手を何十人も出している街です。スポーツ少年団に入りたてのころ、クリスマス会のくじ引きで、代表選手全員のサインが入ったスティックをもらいました。代表チームがグラウンドの隣で練習していたこともあって、トップ選手をとても身近に感じられる環境です。刺激をもらえました。
―引っ越しとは、家族ぐるみですごい覚悟ですね。その後は強豪の岐阜各務野高校、山梨学院大学で活躍されました。日本の代表チームやオリンピックを強く意識し始めたのはいつごろでしょう。
周囲のチームメートたちも目標だと当たり前に話していたので、もちろん意識してはいたのですが、現実的に考え始めたのは大学に入ったタイミングでした。大学にはオリンピック出場経験がある先輩がいて、こうなりたい、と強く思いました。
小さいころ、「日本代表はオリンピックに出られるもの」と簡単に考えていたところがあります。でも、実際には最終予選を勝ち抜いたり、アジア競技大会で優勝したりしなければ国として出場権を得られないという現実もあります。真剣に向き合うようになったのは19歳の時でした。

■パリで感じた格差と強み
―オリンピックについてお話を聞かせてください。
昨年出場したパリオリンピックは、ずっと夢として目指してきた舞台でした。その舞台に立て、現地に両親に来てもらえたことが一番うれしく、印象に残っています。
自分たち選手だけではなくて、現地のボランティアの方がものすごく親切にしてくださったことがとても印象的でした。いろいろな人に支えられてスポーツ大会、オリンピックが出来上がっているんだな、と強く感じました。
―多くのアスリートから「ボランティアが素晴らしかった」とお聞きしています。
とてもフレンドリーに接してもらいました。私たちさくらジャパンのメンバーは、選手村のボランティアさんたちと仲良くなって。大会終盤、大勢のボランティアさんたちに声をかけてユニフォームを交換しました。ボランティアの服、可愛かったんです。英語は得意ではないけれど、やりとりは雰囲気で…(笑)
―パリでの競技のことを教えてください。
チームとしても個人としても、世界とは格差があると感じました。実力面で海外の選手が上だということはもともと分かっていた中での戦いでしたが、大きな舞台になると相手も、自分が想像した以上にレベルが上がります。まだまだ足りないことがたくさんあることを思い知った大会でした。
ただ、自分たちの強みであり、重視してきたことであるチームワークを発揮して、相手の攻撃を防ぐこともできました。海外チームの技術のある個人がパスを回して崩しに来る時に、個の技術ではなく「人数をかけてみんなで守る」という、さくらジャパンの強みもはっきりしたと思います。
―開催国フランスからの歴史的な1勝を、完全アウェーのパリで挙げました。2026年の愛知・名古屋アジア大会は、いつも練習している「ホーム」の各務原で戦えます。
パリオリンピックはホームのフランスに勝てましたし、2023年の杭州アジア大会もホームの中国に勝てました。ホッケーの国際大会はあまり日本で開かれないので、アウェーは実は気になりません(笑)
でも、やっぱり知り合いや多くの日本の方に見てもらえる機会になるのは嬉しいです。
―アジア大会での目標は。
優勝して、次のオリンピックの出場権を獲得することです。もうひとつは、やっぱりホッケーをまだ知らない方がいっぱいいると思うので、しっかり結果を残して、ホッケーの魅力をしっかり発信出来たらと思います。
―アスリート目線で、ホッケーの魅力を語ってください。
ホッケーは「最後の1秒まで何が起こるか分からないスポーツ」です。サッカーやバスケットボールよりずっとゲーム展開が早いです。オフサイドがなくて、トップレベルならセンターラインからわずか3秒でボールがゴールに届くこともあります。
私自身、残り1秒からひっくり返った試合を何度も経験していますが、本当に気が抜けません。一瞬で点が入るセットプレーに注目すると面白いはず。時速100㌔を超えるスピードでボールが飛び交うスリリングさを、ぜひ現場で体感してほしいです。
―オリンピックについてお話を聞かせてください。
昨年出場したパリオリンピックは、ずっと夢として目指してきた舞台でした。その舞台に立て、現地に両親に来てもらえたことが一番うれしく、印象に残っています。
自分たち選手だけではなくて、現地のボランティアの方がものすごく親切にしてくださったことがとても印象的でした。いろいろな人に支えられてスポーツ大会、オリンピックが出来上がっているんだな、と強く感じました。
―多くのアスリートから「ボランティアが素晴らしかった」とお聞きしています。
とてもフレンドリーに接してもらいました。私たちさくらジャパンのメンバーは、選手村のボランティアさんたちと仲良くなって。大会終盤、大勢のボランティアさんたちに声をかけてユニフォームを交換しました。ボランティアの服、可愛かったんです。英語は得意ではないけれど、やりとりは雰囲気で…(笑)
―パリでの競技のことを教えてください。
チームとしても個人としても、世界とは格差があると感じました。実力面で海外の選手が上だということはもともと分かっていた中での戦いでしたが、大きな舞台になると相手も、自分が想像した以上にレベルが上がります。まだまだ足りないことがたくさんあることを思い知った大会でした。
ただ、自分たちの強みであり、重視してきたことであるチームワークを発揮して、相手の攻撃を防ぐこともできました。海外チームの技術のある個人がパスを回して崩しに来る時に、個の技術ではなく「人数をかけてみんなで守る」という、さくらジャパンの強みもはっきりしたと思います。
―開催国フランスからの歴史的な1勝を、完全アウェーのパリで挙げました。2026年の愛知・名古屋アジア大会は、いつも練習している「ホーム」の各務原で戦えます。
パリオリンピックはホームのフランスに勝てましたし、2023年の杭州アジア大会もホームの中国に勝てました。ホッケーの国際大会はあまり日本で開かれないので、アウェーは実は気になりません(笑)
でも、やっぱり知り合いや多くの日本の方に見てもらえる機会になるのは嬉しいです。
―アジア大会での目標は。
優勝して、次のオリンピックの出場権を獲得することです。もうひとつは、やっぱりホッケーをまだ知らない方がいっぱいいると思うので、しっかり結果を残して、ホッケーの魅力をしっかり発信出来たらと思います。
―アスリート目線で、ホッケーの魅力を語ってください。
ホッケーは「最後の1秒まで何が起こるか分からないスポーツ」です。サッカーやバスケットボールよりずっとゲーム展開が早いです。オフサイドがなくて、トップレベルならセンターラインからわずか3秒でボールがゴールに届くこともあります。
私自身、残り1秒からひっくり返った試合を何度も経験していますが、本当に気が抜けません。一瞬で点が入るセットプレーに注目すると面白いはず。時速100㌔を超えるスピードでボールが飛び交うスリリングさを、ぜひ現場で体感してほしいです。
取材・構成は、中野祐紀と鈴木雄登が担当しました(年齢は取材時)。
鈴木美結(すずき・みゆ)さんプロフィール 1999年1月8日生まれ。愛知県小牧市出身。小学生時代にホッケーの盛んな 岐阜県各務原市に移り住み、強豪・岐阜各務野高から山梨学院大に進んだ。 2024年のパリオリンピック日本代表。ポジションはボールに向かって行く勇 気と状況判断、鋭い出足のダッシュが欠かせないDF。 ソニーHC BRAVIA Ladies所属。 |