2025年04月14日
寺澤紗良さん(空手)インタビュー【第2回】
寺澤紗良さん(空手)インタビュー【第2回】
「ここで、ひとつに」。
空手選手、寺澤紗良さんの2回目では、高校時代から出場を重ねる国際大会での経験と、愛知・名古屋2026大会に向けての意気込みをうかがいます。
対海外勢の試合でストロングポイントとなっている蹴り技を生むのは、イラン出身の父親譲りの体つき。そして、過酷な競技生活を支えるのは、栄養満点の母親のお弁当と、試合本番での温かい応援だそうです。
お世話になったたくさんの人々への感謝を胸に、地元開催のスポーツの祭典に臨みます。




取材・構成は、中野祐紀と鈴木雄登が担当しました(年齢は取材時)。
「ここで、ひとつに」。
空手選手、寺澤紗良さんの2回目では、高校時代から出場を重ねる国際大会での経験と、愛知・名古屋2026大会に向けての意気込みをうかがいます。
対海外勢の試合でストロングポイントとなっている蹴り技を生むのは、イラン出身の父親譲りの体つき。そして、過酷な競技生活を支えるのは、栄養満点の母親のお弁当と、試合本番での温かい応援だそうです。
お世話になったたくさんの人々への感謝を胸に、地元開催のスポーツの祭典に臨みます。

■緊張と楽しさ、両方ある国際舞台
―国際大会のご経験を教えてください。
高校1年生の時、 KARATE1のユースリーグでイタリアのベネチアに行ったのが、初めての海外遠征です。ジュニアの組手で3位でした。一緒に行った仲間たちの中で日程がトップバッターだったので、ものすごく緊張しました。手ぶらで帰るわけに行かないし、死に物狂いで取った銅メダルでした。
試合以外の楽しい思い出もあります。海水の水位が上がってきて水が張る、有名なサンマルコ広場には、長靴を履いて観光に行きました。アスリートにとって、その土地その土地にしかない魅力に触れる素晴らしい経験ができるのが国際大会です。
大学1年生の時には、初めて正式にナショナルチームに選ばれて、世界ジュニア、アジアジュニア大会に出ました。国を代表する立場で臨み、優勝できたのは大きな喜びでしたが、ある意味では、初海外のイタリアの時よりは無邪気に楽しめてはいなかったような気がします。試合の重みというか、プレッシャーも感じていましたし、「楽しめたけどきつかった」というのが正直なところです。
―国際大会のご経験を教えてください。
高校1年生の時、 KARATE1のユースリーグでイタリアのベネチアに行ったのが、初めての海外遠征です。ジュニアの組手で3位でした。一緒に行った仲間たちの中で日程がトップバッターだったので、ものすごく緊張しました。手ぶらで帰るわけに行かないし、死に物狂いで取った銅メダルでした。
試合以外の楽しい思い出もあります。海水の水位が上がってきて水が張る、有名なサンマルコ広場には、長靴を履いて観光に行きました。アスリートにとって、その土地その土地にしかない魅力に触れる素晴らしい経験ができるのが国際大会です。
大学1年生の時には、初めて正式にナショナルチームに選ばれて、世界ジュニア、アジアジュニア大会に出ました。国を代表する立場で臨み、優勝できたのは大きな喜びでしたが、ある意味では、初海外のイタリアの時よりは無邪気に楽しめてはいなかったような気がします。試合の重みというか、プレッシャーも感じていましたし、「楽しめたけどきつかった」というのが正直なところです。

■強みの蹴り技生んだルーツ
日本代表として、海外選手と渡り合う上で私の大きな武器になっているのが、蹴り技です。外国選手は、国内選手に比べていろいろな蹴り技を繰り出してくる傾向があります。国際試合では、蹴りと蹴りで戦えることで試合がかみ合い、「脚を脚で潰す」ことができます。私はイランと日本のハーフなので、体つきが一般的な日本人とはちょっと違います。それが、強みになっています。
―もう少し詳しく教えてください。
膝が柔らかくて、脚をしならせることができます。お尻周りに筋肉が付きやすく、人よりもパワーのある蹴りを繰り出すことができるのも強みです。それぞれの得意なことや個性を大切にしてくれる山口先生(聡孔・中部学院大学空手道部組手監督)のご指導のおかげもあって、自分はその体つきを生かした蹴り方ができていると思います。
―普段の体づくりはどうされていますか。
大学1年の時には+68㎏の階級で戦っていて、体重の増量がきつかったです。代謝が良いので、体質的に痩せやすいんです。動けば動くほど、たくさん食べないと痩せていってしまうので、そこの管理を大切にしています。朝食べて、昼間のお弁当は2つ。間食でおにぎりを食べて、家帰ってからも食べて。おにぎりは母に作ってもらっています。すねはかじれるだけかじります、と伝えています(笑)
競技は、支えてもらわないとできないことなので、大いに家族に支えてもらいながら。いつも感謝を忘れないようにしています。
その後、増量の苦労が少ない-68㎏に階級を変更しました。国内にも優れた選手が多い階級なので、勝ち抜くのは難しいですが、難しい階級で勝負したいという思いがあって、山口先生とも相談して決めました。
―壁は高い方が燃えるタイプなのですね。
そうですね。12月にある全日本選手権は、すべての階級の選手が出場しますが、そこに挑んで、高い壁を破りたいと思います。
日本代表として、海外選手と渡り合う上で私の大きな武器になっているのが、蹴り技です。外国選手は、国内選手に比べていろいろな蹴り技を繰り出してくる傾向があります。国際試合では、蹴りと蹴りで戦えることで試合がかみ合い、「脚を脚で潰す」ことができます。私はイランと日本のハーフなので、体つきが一般的な日本人とはちょっと違います。それが、強みになっています。
―もう少し詳しく教えてください。
膝が柔らかくて、脚をしならせることができます。お尻周りに筋肉が付きやすく、人よりもパワーのある蹴りを繰り出すことができるのも強みです。それぞれの得意なことや個性を大切にしてくれる山口先生(聡孔・中部学院大学空手道部組手監督)のご指導のおかげもあって、自分はその体つきを生かした蹴り方ができていると思います。
―普段の体づくりはどうされていますか。
大学1年の時には+68㎏の階級で戦っていて、体重の増量がきつかったです。代謝が良いので、体質的に痩せやすいんです。動けば動くほど、たくさん食べないと痩せていってしまうので、そこの管理を大切にしています。朝食べて、昼間のお弁当は2つ。間食でおにぎりを食べて、家帰ってからも食べて。おにぎりは母に作ってもらっています。すねはかじれるだけかじります、と伝えています(笑)
競技は、支えてもらわないとできないことなので、大いに家族に支えてもらいながら。いつも感謝を忘れないようにしています。
その後、増量の苦労が少ない-68㎏に階級を変更しました。国内にも優れた選手が多い階級なので、勝ち抜くのは難しいですが、難しい階級で勝負したいという思いがあって、山口先生とも相談して決めました。
―壁は高い方が燃えるタイプなのですね。
そうですね。12月にある全日本選手権は、すべての階級の選手が出場しますが、そこに挑んで、高い壁を破りたいと思います。

■音楽でアゲて勝ち、歓声を浴びる
―ぜんぜん違うお話に移りますが、趣味を教えてください。
趣味は寝ること。それと音楽を聴くことです。本当にいろいろなジャンルを聴きますが、実は昔の曲をよく聴きます。昭和の曲とか。松田聖子さん、中森明菜さん、安全地帯、久保田利伸さん、B’z、DREAMS COME TRUE、竹内まりやさん…。平成の曲も結構ありますね。
試合前のルーティンとしては、SPYAIRの曲を聴きます。試合直前というよりは、試合の日の朝、準備の時にかけたり、電車やバスでの移動中にかけたりします。聞いてると気持ちがアガるというか。「緊張しぃ」なので、試合前に深く考えこんでしまうよりも、音楽を聴いて気持ちをアゲたいんです。
あとは、試合前だけではなく、普段の通学などの車の運転中にも聴いて、聴きながら熱唱したりしています。
―ほかに、試合会場での緊張対策があるのでしょうか。
観客席を見て、母を探しますね。いつも、試合会場入ったら母を探して、「頑張るよ」と手を振るようにしています。プラス、会場を見渡して会場全体の空気を感じて、「この中で勝ち残ったら、格好いいぞ」と自分に言い聞かせて。「この会場のど真ん中で、全員が見てる中で自分の組手で、みんなの心を動かすぞ」と。そういう気持ちになって試合に臨みます。
―勝った後の歓声は全身で浴びたい方ですか。
そうですね。ふふふふ。それが快感ですね。
―ぜんぜん違うお話に移りますが、趣味を教えてください。
趣味は寝ること。それと音楽を聴くことです。本当にいろいろなジャンルを聴きますが、実は昔の曲をよく聴きます。昭和の曲とか。松田聖子さん、中森明菜さん、安全地帯、久保田利伸さん、B’z、DREAMS COME TRUE、竹内まりやさん…。平成の曲も結構ありますね。
試合前のルーティンとしては、SPYAIRの曲を聴きます。試合直前というよりは、試合の日の朝、準備の時にかけたり、電車やバスでの移動中にかけたりします。聞いてると気持ちがアガるというか。「緊張しぃ」なので、試合前に深く考えこんでしまうよりも、音楽を聴いて気持ちをアゲたいんです。
あとは、試合前だけではなく、普段の通学などの車の運転中にも聴いて、聴きながら熱唱したりしています。
―ほかに、試合会場での緊張対策があるのでしょうか。
観客席を見て、母を探しますね。いつも、試合会場入ったら母を探して、「頑張るよ」と手を振るようにしています。プラス、会場を見渡して会場全体の空気を感じて、「この中で勝ち残ったら、格好いいぞ」と自分に言い聞かせて。「この会場のど真ん中で、全員が見てる中で自分の組手で、みんなの心を動かすぞ」と。そういう気持ちになって試合に臨みます。
―勝った後の歓声は全身で浴びたい方ですか。
そうですね。ふふふふ。それが快感ですね。

■地元で優勝して直に恩返し
―2026アジア大会は、地元・愛知県での開催です。
海外での国際大会となると、家族でも応援に来るのが難しくなります。遠いし、お金もかかるし、治安の問題もあります。地元開催のおかげで、自分のことを昔から知ってくれている人たちに直接、自分の頑張ってきた成果を見せることができます。そこで勝って、優勝して、恩返ししたいという思いがあります。
―お父さまがイランご出身です。もちろん、アジア大会にはイランからもたくさんのアスリートたちが来日してくれますね。
自分の中にイランの血が流れてなかったら、蹴り技を強みとしてここまで勝てているかどうか、分かりません。国際大会に出ていると、イランの選手とも一緒になります。顔立ちがこうなので、JAPANのジャージを着て会場にいると、外国の選手からも「なんでJAPANジャージ着ているの?」と聞かれることがあります。「お父さんがイランなんだよ」と答えると、それだけでイランのアスリートたちには仲間意識を持ってもらえて、一緒に写真も撮ったり、仲良くなったりできました。
英語はあまり得意ではないので、外国の選手とのコミュニケーションはカタコトの英語と、携帯電話のアプリなどでやるしかないのですが、海外の選手と交流できるのはとても嬉しいことです。
周りが日本人だけではない、という環境は、国際大会以外ではなかなか経験できないことです。私は海外の選手との交流は積極的にしたいタイプ。愛知・名古屋には、おすすめできる食べ物もいっぱいありますね。自分自身も好きなひつまぶしとか、手羽先、味噌カツ、ういろうとか。海外からの選手にもお勧めして、おいしいものをたくさん食べてもらいたいと思っています。
―2026アジア大会は、地元・愛知県での開催です。
海外での国際大会となると、家族でも応援に来るのが難しくなります。遠いし、お金もかかるし、治安の問題もあります。地元開催のおかげで、自分のことを昔から知ってくれている人たちに直接、自分の頑張ってきた成果を見せることができます。そこで勝って、優勝して、恩返ししたいという思いがあります。
―お父さまがイランご出身です。もちろん、アジア大会にはイランからもたくさんのアスリートたちが来日してくれますね。
自分の中にイランの血が流れてなかったら、蹴り技を強みとしてここまで勝てているかどうか、分かりません。国際大会に出ていると、イランの選手とも一緒になります。顔立ちがこうなので、JAPANのジャージを着て会場にいると、外国の選手からも「なんでJAPANジャージ着ているの?」と聞かれることがあります。「お父さんがイランなんだよ」と答えると、それだけでイランのアスリートたちには仲間意識を持ってもらえて、一緒に写真も撮ったり、仲良くなったりできました。
英語はあまり得意ではないので、外国の選手とのコミュニケーションはカタコトの英語と、携帯電話のアプリなどでやるしかないのですが、海外の選手と交流できるのはとても嬉しいことです。
周りが日本人だけではない、という環境は、国際大会以外ではなかなか経験できないことです。私は海外の選手との交流は積極的にしたいタイプ。愛知・名古屋には、おすすめできる食べ物もいっぱいありますね。自分自身も好きなひつまぶしとか、手羽先、味噌カツ、ういろうとか。海外からの選手にもお勧めして、おいしいものをたくさん食べてもらいたいと思っています。
取材・構成は、中野祐紀と鈴木雄登が担当しました(年齢は取材時)。
寺澤紗良(てらざわ・さら)さんプロフィール 2003年6月8日生まれ。愛知県一宮市出身。全日本空手道連盟の全日本強化指定選手(女子組手-68k級)。済美高卒、現在は中部学院大3年。2023年にアジアカデット、ジュニア&U21空手道選手権大会優勝(U21の部)、2024年にKarate1シリーズAラルナカ大会優勝。 |